祖父の懐中時

祖父の時計

祖父が永年勤続で頂いた懐中時計。明治後期か大正の初めの頃の物だと思います。ダボ押し、シリンダー脱進機。天賦がスケルトンで珍しいです。長い間故障で動いていませんでした。祖父、母、私と三代に渡って所有している思い入れの有る時計です。母は惣領の兄弟とは25歳も離れた末娘で、幼くして亡くした父との数少ない思いでの一つがこの時計です。祖父が毎朝竜頭を巻き、居間の柱にぶら提げコチコチといい音をを立てていたそうです。以前、近所の時計店で修理依頼をしましたが直らないと言われ又、店主はこの時計は大変貴重な物なので博物館とかに寄付したらどうでしょうかとも言っていました。当時私は時計に知識が有りませんでしたので本当に価値のある時計と思っていました。何とか直したい、30年位前でしょうか、念力ブームがあり、ユリゲラーがテレビで超能力を送るので壊れた物をテレビの前に置いて下さいと言うパフォーマンスがありました。祈る思いでトライしましたが直るわけがありませんね。その後、私も所帯を持ち長野県へ引越ました。地元の古い時計店でいとも簡単に直ってしまいました。東京の実家に居た母に見せた時の喜んだ顔が今でも瞼に残っています。なにせ50年以上も壊れたままでしたから。この時計、機械様式などから、そんなに高価なものではありません。しかし、私にとってはどれよりも愛着のある時計です。

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